繰り返すプロジェクト管理失敗への処方箋:どこから手を付ければ改善できるのか?

プロジェクト管理のよくある悩み 

日常的に大小さまざまなプロジェクトが走っている情シスでは、プロジェクト管理に関する悩み尽きない方も多いのではないでしょうか。

情シスでは、数年に1度のシステム移行に限らず、PCやプリンターの入れ替え、新ツールの導入など、社内・社外の垣根をまたいだ様々なプロジェクトが定期的に発生していると思います。しかし、関係者毎回同じとは限らないため、一つ一つの課題つど個別に解決しても根本解決にはなりません
プロジェクト管理は場当たり的、属人的ではなく"型"を決めておくことが非常に重要です。 

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「正しいプロジェクト管理」とは 

ではプロジェクト管理の正しい""とは、どのようなものでしょうか。適切なプロジェクト管理の型を作るには、PMBOK、CMMI、PRINCE2などの世界標準のプロジェクト管理手法を取り入れるのが定石でしょう

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日本で主流なのはPMBOKですが、これらの手法はどれを採用しても適切なプロジェクト管理が実現できます。ただし、導入する際は注意が必要です。 

また、「PMBOKに準拠したプロジェクト管理ツールを導入すれば、自動的に適切なプロジェクト管理ができるようになる」と思われがちですが、実際にはツールを導入してみたが定着しない、うまく使いこなせないといった声も非常によく聞かれます。 

プロジェクト管理手法を取り入れる際の注意点 

「うちの会社でもPMBOKを取り入れようとしたが失敗した」 
「せっかくプロジェクト管理ツールを導入したのに誰も使っていない」 

このような状況を防ぐには、前提となる見落とされがちな3つのポイントをおさえることが重要です。 

1. ナレッジ管理の土壌をつくる 

PMBOKやPMBOK準拠のプロジェクト管理ツールが効果を発揮するのは、CMMIでいうところのレベル2以降、すなわち「ある程度再現できるレベルで基本プロセスが確立されている状態」だと言われています。レベル1の状態、すなわち「場当たり的で属人的な管理がなされている状態」にプロジェクト管理手法を取り入れても、効果は発揮できないでしょう。 

レベル1の状態は、まずプロジェクトのナレッジ管理をするところから始めるのがおすすめです。ナレッジ管理とは、過去のノウハウを蓄積、展開し、次のプロジェクトに活かすことです。プロジェクトに関する情報が蓄積していくことにより、次回同じ作業を行う場合に過去の情報を参照することができ、作業時間の短縮につながります。

なお、プロジェクトのナレッジ管理は、PMBOKの中でも組織のプロセス資産(Organizational Process Assets)」という重要な要素として定義されています。 

2. 標準プロセスをプロジェクトに合わせ仕立て直す(=テーラリング)

土壌ができた上でPMBOKの考え方を手っ取り早く導入するには、PMBOKに準拠した専用のプロジェクト管理ツールを利用するのが早いでしょう。ただし、プロジェクト管理ツールは必要な機能を網羅的に備えている一方で、プロジェクト管理に必要な要素は企業やプロジェクトによって異なるため、自分で必要なプロセスを選択・調整して取り入れる必要があります。重要なのは、プロジェクトの性質に合ったプロセスや環境を整え、プロジェクトが生み出す価値を最大化することです。 

なおこの考え方は、PMBOKでは「テーラリング(tailoring)と呼ばれており、最新版であるPMBOK 第7版(2021年)ではテーラリングだけで1つの章としてまとめられているほど重要な考え方となっています。 
参考:テーラリングとは何か?PMBOKを読み解く上で大切なキーワードを解説 | Promapedia

3. スムーズなコミュニケーションプラットフォームを用意する

PMBOKなどの手法では、プロジェクト関係者間のコミュニケーションの重要性が強調されています。しかしその一方で、プロジェクトの失敗理由の1位は、コミュニケーション不足だと言われています。 
参考:プロジェクト管理ツールの利用状況(2022年)/前編 | キーマンズネット

特にシステム刷新や新システム導入などの大型プロジェクトでは、社外の関係者も多く、関係者を一同に集めてディスカッションすることが困難です。また関係者間のやりとりがメール、チャット、電話、会議などあちこちに分散していると、他のメンバーにつど共有する手間が発生し、コミュニケーションコストも増大してしまいます。

あらかじめ定義されたプロセスに沿ってコミュニケーションを行うことで、情報の漏れや齟齬を防ぎ、円滑なコミュニケーションが可能になります。 

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kintoneがプロジェクト管理に適している理由

kintoneはこれらのポイントをおさえつつ、「これからプロジェクト管理を始めたい人」や「部分的にツールを取り入れたい人」にぴったりのツールです 

kintoneとは
「kintoneってどんなツールだろう?」と気になった方は、まずはこちらのページをぜひご覧ください。
はじめての方へ。キントーンとは

1. ナレッジ管理の土壌をつくる
 ⇒WEBデータベースでのナレッジの蓄積が得意

kintoneは汎用的なWEBデータベースの機能を持つため、ナレッジの蓄積に長けています。プロジェクトの各フェーズで得られた知見や成果物を、kintone上で一元管理できます。入力項目は自由に設計できるため、情報を定型化して残すことが可能です。

ではこれから新しくナレッジ管理を始めたい場合、まずどのような情報を蓄積すればよいでしょうか。情シスで発生するプロジェクトでは、例えば以下のようなプロセスが必要になるケースが多いでしょう。

  • 進捗管理 
  • 変更管理 
  • タスク管理 
  • コスト管理 
  • リスク管理 
  • 課題管理 
  • ドキュメント管理 
  • メンバー(ステークホルダー)管理  など 

中でも、まずは「将来のプロジェクトに活かせる情報」という観点で、「リスク管理」「課題管理」「メンバー(ステークホルダー)管理」から取り組むのがおすすめです。

「リスク管理」は将来発生しうる課題(=リスク)を、「課題管理」は現在発生している課題を管理するプロセスです。これらの情報を蓄積しておくことで 、

- 何でつまずいたか
- 問題のボトルネックは何だったのか
- どのような方法で回避もしくは解決したか
- どのような資料、情報があったら助かったか
-(失敗プロジェクトの場合は)なぜ失敗したか、失敗を防ぐには何が必要だったか 

といった情報が引き継がれ、将来のプロジェクトの品質向上につながります。 

なお、kintoneは様々な業務アプリをノーコードで作成できるツールです。データベースだけでなく、チケット管理システム、ワークフロー、ファイル管理などとしても利用できますが、これらは用途に関わらずすべて「アプリ」と呼びます。

kintoneでは、アプリのひな型を無償で提供しており、一から自分で作る必要がありません。「リスク管理」「課題管理」では、「懸案管理アプリ」をベースにしてフィールド項目を自社用にカスタマイズするのがおすすめです。 

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課題と対応内容をセットで記録します。

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対応状況や担当者、対応期限などを一覧でも確認できます。

また、「メンバー(ステークホルダー)管理」は、プロジェクトの関係者と、それぞれのスコープを記録しておくプロセスです。将来同様のプロジェクトが発生した場合に、特にベンダーやサプライヤといった社外メンバーとの責任範囲を決める際の参考情報として有用です。 

パーソルキャリア様でも、kintoneでナレッジの属人化を解決し、ガバナンスをきかせたプロジェクト管理を実現しました。 

年間100件を超えるITプロジェクトを進めていた同社では、メールによる捺印申請やエクセルによる進行管理など、申請フローやツールが散在していました。kintone導入後は、プロジェクトに必要な申請書や進行表などの管理、共有、可視化を実現したオリジナルアプリを作成し、プロジェクトにまつわる情報を一元的に管理されています。

▼ユーザー事例
パーソルキャリア様

2. 標準プロセスをプロジェクトに合わせ仕立て直す(=テーラリング)  
 ⇒ノーコードツールのため誰でも簡単に柔軟な設計が可能

プロジェクトの状況は刻々と変わるため、状況に応じて現場のメンバーの声をツールに反映できると理想的です。kintoneはノーコードツールのため、柔軟な設定が可能です。既製品のプロジェクト管理ツールでは不可能な細やかな設計で「自社の業務にフィットしたPMBOK」を実現しましょう。

たとえば独自の項目を設けたフォームを作成したり、データの入力規則や文字の制限を設定したり、承認プロセスを追加するなど細やかな設計が可能です。

3. スムーズなコミュニケーションプラットフォームを用意する  
 ⇒ゲストスペース機能で社内外の垣根を越えたコミュニケーションが可能

kintoneのゲストスペースの機能を使えば、社内外の垣根なく一つのプラットフォームでコミュニケーションが可能です。社内環境とは別の環境を用意するので情報漏洩の心配はありません。 

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イートアンド様事例より

▼ユーザー事例
イートアンド様

ゲストスペースは招待制なのでアクセス権を付与された人しか閲覧できません。アプリも、アプリ単位、レコード単位、フィールド単位で権限を絞ることができるので、例えばこのデータは社内メンバーは閲覧可だがベンダーには見せたくない、といった細やかな設定が可能です。

他部署へも展開できる「プロジェクト管理」ノウハウ

いかがでしたか?

プロジェクト管理といえば情シスと思われがちですが、実はこのノウハウはIT以外のプロジェクトにも適用できます。例えばオフィス移転プロジェクト、創業〇周年イベントプロジェクトなど、頻度はさほど多くないものの、関係者が多く管理が難しいプロジェクトは意外と多いものです。

情シス内でつくったプロジェクトの「型」を、ぜひ他部署にも展開してみてくださいね! 

関連情報

▼kintone製品サイト
プロジェクト管理ならキントーン