クラウド時代のIT部門はどうあるべきか ~2014年取り組むべき2つの領域~

2014年2月27日に「Cloud Days 東京 2014」がホテルニューオータニにて開催されました。その中で、サイボウズのエンタープライズ市場統括責任者 伊佐 政隆が「新たなIT部門のあり方~2014年取り組むべき2つの領域~」をテーマに、講演を行いました。
サイボウズがクラウドベンダーへと転換し、「kintone」の提供をはじめた理由は、企業を取り巻く環境とこれからの時代のIT部門が担う役割の変化を見据えたことにあります。
IT部門には、今後どのようなミッションが課せられていくのか、変革に向け、IT部門がいま目を向けるべき2つの領域とは何か、お伝えします!

P2270182          <エンタープライズ市場統括責任者 伊佐 政隆>

サイボウズがクラウド企業に変革、「kintone」を提供する理由

ソフトウェアの開発と販売のイメージが強いサイボウズですが、2011年末にクラウドサービス「cybou.com」の提供へ、大きく舵を取りました。「cybozu.com」では、グループウェアだけでなく、業務プラットフォームである「kintone」をリリース、サービスの中核をなしています。
「kintone」は、「チームワークプラットフォーム」をコンセプトとし、業務に合わせたアプリケーションを、圧倒的なスピードで構築できる開発基盤です。データとプロセスをクラウド上で管理し、データに紐づいたコミュニケーションを可能にしています。

「kintone」              <「kintone」の特徴>

リリースからわずか2年で「cybozu.com」の有料契約者数は、6,000社を突破しました。東証一部の上場企業においても、ここ半年で採用が増加しています。
なぜこれだけ多くの企業にいま、サイボウズのクラウドサービスが選ばれているのか。その答えは、これから日本企業が抱えるであろう課題にありました。今後日本社会は、少子高齢化の中どのようにして労働力を確保していくか、という大きな課題と向き合っていくことになります。解決に向け、テレワークやモバイルファーストをテーマに、新たな働き方へのチャレンジをはじめた企業も少なくありません。クラウドサービスは、従来のシステムでは叶わなかったワークスタイルを実現できると、注目を集めています。
ワークスタイルが実現できる環境の整備に向けて、IT部門は大きな役割を任されることでしょう。しかし、保守的なIT部門の働き方でこの課題と向き合っていくのは、難しいのではないでしょうか。IT部門は、いよいよ生まれ変わる必要を迫られていると、伊佐は考えています。

2014年、まず取り組むべき2つの領域

将来的に社会環境の変化とワークスタイルの多様化は必然であり、IT部門の変革は避けられません。まず最初の第一歩として、サイボウズからは以下の2つの領域に着手することを、提案しています。

1.業務フローに組み込まれた Excel の乗せ換え
2.顧客、販売店とのコラボレーション

サイボウズのクラウドサービス「kintone」を活用し、この2つの領域にチャレンジした2社の事例をご紹介します。

小売からSPA(製造小売)へ 
変化への適応力と圧倒的な開発スピードの事例

クラウドサービスの利用は運用保守からの解放というメリットもあると一般的には言われていますが、本当の価値は事業変化への適応力だと思います。
まずは、業務に残っていたExcel を「kintone」に乗せ換え、圧倒的な低コストとスピードでのシステム開発を実現した、株式会社バルス様の事例をご紹介します。

バルス様会社概要              <バルス様会社概要>

バルス様では、「Francfranc」を始めとするインテリア・雑貨小売販売事業を展開しています。PB(プライベート)商品の納品管理に「kintone」を採用し、わずか2週間という短期間かつ低コストで運用をスタートさせました。
顧客ニーズの多様化に対応するため、1店舗には、約8,000点ものアイテムが並びます。アイテム内容も、PB商品の割合が段々と増加し、小売からSPA(製造小売業)へと、業態の変化を遂げました。ビジネスモデルの転換は業務フローの変化をもたらし、これまでの基幹システムでは対応しきれない業務が発生しました。ひとまずExcelによる情報共有で対応をとりましたが、現場の納品管理において、大きなボトルネックが浮かび上がりました。

発注〜納品の業務フローが変化              <業務フローの変化>

このような問題が発生したときに、いままでは、SPA専用の基幹システムへの乗り換えや、自社での開発といった、開発期間が長く、費用負担の大きい選択肢しかありませんでした。
しかし、「kintone」を開発プラットフォームとして検討することで

・開発期間
・費用負担

の前提が大きく変わりました。

さらに、「kintone」ではシステム連携で基幹システムとも連携することができます。必要な箇所のみに絞った開発ができることも、コストや構築期間を低減できた大きな要因と言えます。社外ではあるものの、同じ仕事をするチームの一員として商社の方にも必要なアカウントを発行し、セキュアに業務連携を行っています。
バルス様は、「kintone」を社内業務システムの選択肢に加え、事業の変化にあわせたシステムを、すばやく構築できるようになりました。「システム開発における期間・費用」の前提が変わったことで、新たなIT部門への一歩を踏み出しました。

 ※参考※ 株式会社バルス様 導入事例

複数拠点間でのリアルタイムなコミュニケーション、
顧客とのコラボレーションの事例

つづいては、複数拠点間でのリアルタイムなコミュニケーション、顧客とのコラボレーションで「kintone」を活用している事例をご紹介します。

Gray建設              <Gray建設様会社概要>

グレイ建設様は、アメリカの工場の建設を専門としている建設会社です。トヨタ自動車といった、数多くの大手日本企業の北米進出を支え、アメリカの建設会社の中ではトップの実績を持つ企業です。

まずは、社内の営業案件管理に「kintone」を活用しました。拠点が各国に散らばり時差があっても、円滑に情報共有が行えるようになり、直接担当していないプロジェクトの状況も「kintone」上で確認できるようになりました。

案件進捗アプリ              <kintone」の案件進捗アプリ>

さらに、グレイ建設では社内にとどまらず「kintone」を使い、建設現場のデイリーレポートを、顧客にも共有しています。これによりグレイ建設のお客様は、日本に居ながら、重要な現地の情報を即時に把握できるようになりました。この取り組みは、信頼と高い顧客満足につながり、グレイ建設の強い競争力を生み出しています。

社外コレボレーション              <顧客とのコラボレーション>

「kintone」を導入し、イントラネットのシステムではかなわなかった、複数拠点間でのリアルタイムなコミュニケーションや、顧客とのコラボレーションという新たなチームワークの仕組みを生み出しました。

まとめ

変革を迫られているIT部門が取り組むべき、2つの領域を事例を踏まえてご紹介しました。

1.業務フローに組み込まれた Excel の乗せ換え
2.顧客、販売店とのコラボレーション

この2つの領域に目を向け、取り組んでいくことが、来るべき将来に向けて「チームワークプラットフォーム」を作り上げてくことに、繋がるのではないでしょうか。

攻めのIT部門としての第一歩を踏み出しましょう。サイボウズはそのお手伝いをいたします。


サイボウズ ガルーン アシスタントプロダクトマネージャー 小原