グループウェアメーカーだけが知っている!社内SNSの本当の価値
2014.06.16
2014年5月14日(水)から16日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて「第5回 クラウドコンピューティングEXPO 春」が開催されました。
サイボウズのブースでは、様々なミニセミナーを実施しました。その中からGaroon プロダクトマネージャー 伊佐 政隆のセッション、「グループウェアメーカーだけが知っている社内ソーシャル(社内SNS)の本当の価値」の模様をお伝えします。
サイボウズ株式会社は、17年間グループウェア専業で日本企業に向けて製品とサービスを提供してきました。企業が直面する「情報共有の課題と価値」について常に考えています。情報共有を追求してきたからこそ感じる「社内SNS」の価値と効果的な実施方法をご紹介したいと思います。
社内SNSの価値とは
サイボウズが考える社内SNSとは、「気軽に情報発信・交換ができ、部門や業務など組織の壁を越えて、社員のコミュニケーションが活性化すること。そのことにより、新たな価値が生まれること。」です。
近年、社内SNSの可能性や価値を耳にされる機会も多いかと思います。社内SNSに期待されることとは、なんでしょうか?
例えば、「店舗で顧客から聞いた競合店のキャンペーン情報」や、「開発現場のメンバー間のディスカッションから生まれた新製品のアイディア」、「他の製品を販売している営業が実施した施策の効果測定のデータ」など、なかなか通常のレポートラインではあがってこない情報を吸い上げることにあるのではないでしょうか。部門や業務、レポートラインを意識せず、情報が流通するような環境が「社内SNS」を導入することで、作ることができる可能性があります。
新たなイノベーションが生まれる可能性を秘めた情報活用には、誰もが魅力を感じます。
いざ、導入!
可能性を感じていざ社内SNSを導入しても、実際にうまく活用し効果をあげている例はあまり多くないように感じます。
サイボウズがお客様と接する中で知った失敗事例・成功事例をあげながら、社内SNSの課題、また効果を出すためのポイントはどこにあるのか、具体的な解決策を提示していきます。
役員も積極的に使っていたA社が、なぜか失敗に終わった1つの理由
では、まずある企業での失敗事例を見ながら話を進めていきましょう。
その企業では経営陣がSNSツールに魅力を感じ、トップダウンで社内SNS専用のツールが導入されました。
比較的ITリテラシーの高い人材が集っている同社では、SNS導入への抵抗感は大きくありませんでした。また、当初から推進派の経営陣が積極的にプライベート行事や仕事の所感を書き込みしたこともあり、活発に書き込みがされていました。しかし、半年もしないうちに書き込みの量が減っていってしまいました。
もちろん、工夫をしなかったわけではありません。部活動の報告はこのツールでの報告が必須で義務付けられ、定期的に情報がアップされる仕組みは作っていました。
それでも使われなくなってしまったのです。なぜでしょうか?
それは、「目的が明確に設定されていなかったこと」に原因があります。
SNS活用に限ったことではありませんが、ゴールを明確にしない限りどのような活動であっても「何となく上手くいかない」状態から抜け出すのは難しくなります。この企業ではトップダウンの意思決定を経て、ツールの導入ありきで話が進んでしまったこともあり、自社が社内SNSに期待することが明文化されていませんでした。
さらに、部活動報告の場として設定されてからは、明確に仕事と関係の無い場としてユーザーに認識されてしまいました。そうなると、業務に関係する情報は投稿されることがなくなり、見に来るユーザーも減るというマイナスのサイクルを辿ってしまったのです。
「トップの理解がある」という条件が整っていながらの失敗。社内SNSに成功の道筋を作るのは非常に難易度が高いと思われてしまいそうですが、この失敗事例から、社内SNSの成功には「明確な目的」が非常に重要であるとわかります。
成功事例から見る、社内SNSを使った新たな組織マネジメント
続いては成功事例として、大手食品メーカーの中国現地法人であるB社の例をご紹介します。
B社の活動目標は非常に明確です。中国ではまだ普及していない自社食品を使った食文化の浸透です。そのために、スーパーや食料品店だけでなく、レストランチェーン、さらに社員食堂や大学の学食などへ自社食品を使った料理の提案を行っています。
B社では、提案の数と質を高めることこそが、普及の成功を左右するポイントになると判断し、社内で成功事例の共有を活性化する仕組み作りを始めました。中国という広大な土地で営業は地域ごとに分かれています。物理的な距離を超えて各営業の活動を見える化しながら、お互いに切磋琢磨し、レベルアップが図れる仕組みが必要になります。
そこで社内SNSの仕組みに目をつけました。営業メンバーが顧客に提案して成功した事例を、掲示板で共有し、社内のメンバーがコメントをすることができる仕組みをグループウェア上に作りました。一般的にツールの定着が難しいと言われている営業メンバーはもとより、本部スタッフ、経営メンバーに習慣化させやすい環境であるという要件から、日常的に使い慣れている「グループウェア」を社内SNSの場として選択したといいます。
<B社の社内ソーシャル(社内SNS)を使った新たな組織マネジメント術>
具体的な活用法としては、営業メンバーは、うまくいった提案資料やスーパーの棚への陳列、ディスプレイの写真を社内掲示板に公開します。そこに、現地法人の代表はもとより、他の営業メンバーからの称賛のコメントや質問のコメントが書き込まれます。成功事例ごとに1つの掲示板を立ち上げて報告するようになっており、毎日10件を越える報告とそれぞれに20件前後のフィードバックのコメントが記載され、活発な情報交換が行われています。
そして、この活動に対して同社は表彰制度を作っており、ノウハウ共有への貢献度を数値化し、各種の表彰を用意しています。数値化の基準としては、投稿件数が一番多い人、コメントが一番多い人、提案書の質が高い人などを設定しています。
この表彰により、B社の社内SNSの目的であるノウハウの共有が、より活発に行われるようになりました。
グループウェア上でのやりとりを促進した結果、各営業の提案書の質といった、仕事のスキルの向上がみられています。
同社代表から聞けた言葉のひとつに、「承認欲求は国境をも越える」という言葉がとても印象に残っています。自分の活動を認めてもらえることが、さらに良い活動を行う原動力となり、組織全体の強さへと繋がっていきます。専用のSNSツールを使ったわけではないのですが、情報共有を活性化しメンバーのスキル向上に繋がったという点から、素晴らしい効果が出ている成功事例といえるでしょう。
メールで行っていた時は、これほど活発な情報共有は行われなかったということからも、社内SNSを成功させるには、どのツールを選択するかが非常に重要であるといえます。
グループウェアでできる社内SNS
先ほどの成功事例においても、メンバーが日常的に使い慣れている「グループウェア」を選んだということからも、「ツール選定」が非常に重要であることがわかりました。
専用のSNSツールではなく、日々メンバーが使っていて、使い慣れているツールで行う方が浸透しやすいという成功の条件より、サイボウズではグループウェアでできる社内SNSをオススメいたします。その中でも今回は、Garoonのプロジェクト支援機能である「スペース機能」を使った実施方法をご紹介します。
社内SNSがうまくいかなかった要因の中で「意図しない方向に話がそれて、場が荒れてしまった」という声も聞きます。SNSとして機能させる「場」を新たに作るのではなく、業務で活用しているグループウェアの中にその「場」を作り、情報共有範囲の限定をすることで、業務に即した情報共有ができ、場が荒れることを防ぐことができます。
①目的達成に向けた情報共有の場を「スペース」で作成します
②公開・非公開も設定できるので、関係メンバーのみのクローズの場ができます
③議題ごとにディスカッションの場を作ります
④議題について意見交換することができます
⑤意見について「いいね!」もでき、誰が「いいね!」してくれたか一覧で見ることができます
⑥議論の中で発生した共有ToDoも管理することができます
⑦スペースの参加メンバー以外も、興味ある議題をフォローすると、更新時の通知を受け取ることができます
⑥更新された情報はグループウェア上に通知が集約されます
まとめ
成功事例・失敗事例から「社内SNS」の効果的な実施方法のポイントとして、以下の3つをまとめとして記載します。
・目的の明確化、ゴール設定
予め目的を明確にし、ゴールを設定することで、なんとなく効果が曖昧、そして効果がよくわからないから使われなくなる、ということを防ぐことができます。
・ツールの選定
SNSだからといって、必ずしもわざわざ専用のツールを新たに導入する必要はありません。日々業務で使うツールを使い、情報を分断させないことが定着の秘訣です。
使い慣れた場所で行うことで、メンバーの情報共有の定着を図ることができます。
・情報共有範囲の限定
例えばGaroonの「スペース機能」を使い、関係者のみに公開するなど、まずは顔の見える範囲から小さく始めること、業務に関するコミュニケーションから行うことで、不用意に場が荒れることを防ぐことができます。
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サイボウズ ガルーン アシスタントプロダクトマネージャー 小原