もう迷わない!グループウェア移行の進め方(2)カスタマイズ編
2014.10.29
数年に一度のタイミングでやってくるサーバーリプレイス。このタイミングでグループウェアの移行を検討される方も多いのではないでしょうか。しかし、移行に際して何をすればいいかわからないという声をお聞きすることもしばしば... グループウェア移行を、どのような流れで進めていけばいいのか。サイボウズのシステムコンサルタントの浅賀が、わかりやすく紹介するシリーズ企画、待望の第2弾です!
前回は移行プロセスにおける2つのポイント(「機能移行」と「データ移行」)について解説をしました。第1回記事はこちらをご覧ください
前回のおさらい:グループウェアのリプレイスが決まったらまず取り掛かりたいこと
1:機能移行の検討
機能のFit&Gapや詳細な機能比較を行います。その後、実現できない機能の対応について検討を行います。
2:データ移行の検討
データ移行対象を絞り込み、データ移行の可否の調査を行います。
前回、「移行によって実現できなくなる機能への対策」として、以下の3つの方法を挙げました。
・運用による回避策を探す
・カスタマイズで対応する
・別製品と組み合わせて実現する
弊社の製品・サービスは多くのお客様にご利用いただけるよう汎用的に作られています。そのため、移行前のシステムに固有の機能が存在した場合、要件を満たせないこともあります。そのような場合は、お客様ごとに追加開発を行い、要望に対応するケースもあります。今回は、この「カスタマイズで対応する」方法について解説します。
「ガルーン」の場合は、以下2つの方法が「カスタマイズ」の範囲となります。
・APIを使った開発
・ガルーン本体の改修
では、それぞれについて解説していきます。
APIを使った開発
「ガルーン」では標準でAPIを搭載しています。「ガルーン 連携 API」は、「ガルーン」の機能を外部のプログラムから利用するための、SOAP(Simple Object Access Protocol)形式のインターフェースです。
スケジュール、メッセージ、掲示板、ファイル管理、ワークフローといった「ガルーン」の中でもユーザーの利用頻度の高いアプリケーションのAPIを搭載しています。これによって、他システムとのデータの送受信を可能とし、「ガルーン」の活用を広げることができます。
スケジュールAPIであれば、今日の往訪予定を「ガルーン」のスケジュールから抜き出し、社内の営業支援システムに引き渡すことが可能です。
「ガルーン」内のアプリケーション間でのデータ連携も可能です。「『ガルーン』の掲示板登録を承認制にしたい」という要望があった場合は、「ガルーン」のワークフローで承認された文章を「ガルーン」の掲示板に登録するプログラムを開発することで実現できます。
APIの仕様は、ドキュメントサイトで公開していますので、ユーザー自身で開発することもできます。「Garoon API」
APIを使った開発を行う際は、APIが用意されていない処理は実現できない点や、画面のカスタマイズには対応できない点に注意が必要です。
ガルーン本体の改修
APIで要望を実現できない場合、「ガルーン」本体のプログラム改修が必要となります。「ガルーン」のソースコードそのものを改修するため、お客様からサイボウズにご依頼いただくことになります。ほとんどの要望を実現することが可能ですが、カスタマイズの難易度が高いほど、コストはかかりますし、開発期間も必要になってきます。
今回は、サイボウズで手がけたカスタマイズ事例を3つ紹介します。
事例1:ファイル管理において、フォルダ単位での容量制限を可能とする
ファイル管理を活用したいがサーバーのディスク容量の圧迫を防ぎたいというお客様の要望があり、弊社でカスタマイズを行った事例です。
「ガルーン」のファイル管理は、フォルダ単位での使用量を確認する機能はありますが、容量制限の機能はありません。カスタマイズをご依頼いただいた企業様ではファイル管理の利用頻度が高く、移行前のグループウェアで、フォルダ単位でファイルの容量制限を行われていました。リプレイス時にファイルデータの移行も同時に行ったことから、この機能がないと、サーバーリソースが枯渇する恐れがあり、カスタマイズで機能を搭載する運びとなりました。
事例2:指定したIPアドレスからメールにアクセスした場合は利用できないようにする
こちらは自治体様での導入事例です。基幹システムのネットワークに繋がったPCからもグループウェアを利用したいという庁内の要望がありましたが、情報漏洩の危険性をはらんでいました。そこで、基幹系ネットワークからグループウェアにアクセスした場合は、外部にデータを送信できるメール機能を停止する、というカスタマイズを行い、ユーザーの利便性を向上させつつ、庁外にデータが漏れることを防止しました。
事例3:ログイン画面に任意のメッセージを表示できるようにする
移行前のグループウェア製品で実現できていた機能をそのまま利用したい、というお客様の希望にそってカスタマイズされた機能です。セキュリティルールのような重要度が高い通達を、ログイン時に常に表示させるために搭載されました。
まとめ
「カスタマイズ」の2つの分類を説明しました。実現したい内容によってどちらを採用するか変わってきます。
カスタマイズというと、なんでも実現可能な理想の方法のようにも見えますが、デメリットも存在します。まずは標準機能をベースにして、製品に運用を合わせることができないかを検討いただくことが、製品を長く使っていく上では重要です。その検討を踏まえた上で、どうしても必要となる機能があれば「ガルーン」をカスタマイズして、利用者に使いやすい製品へと発展させていきましょう。
カスタマイズに関するご相談は、サイボウズまでご連絡下さい。
※2022年7月4日 お問い合わせのリンクを修正しました
サイボウズ システムコンサルタント 浅賀 功次