導入前にここだけは必ずチェックしよう。クラウド型グループウェアサービスの比較ポイント

クラウドコンピューティングが引き続き注目されておりますが、近年グループウェア導入においても、クラウドでの選定が増加傾向にあります。
調査機関による、2011年と2012年のグループウェアの導入シェアを比較すると、LotusNotesのようなオンプレミス型のみのグループウェアのシェアが下がっているのに対し、Google Appsや、クラウド版とオンプレミス版を用意しているサイボウズ製品のシェアが上がっていることを確認できます。実際にサイボウズ製品を導入する企業でも、クラウド版を選択するお客様の割合が増えています。
グラフ130918
クラウド型でグループウェアを選定される企業には2つの大きな理由があります。

1.耐障害性の強化
グループウェアが活用されている企業であれば、障害発生やデータ消失による業務上の影響は大きいものです。しかしグループウェアは顧客向けサービスの根幹となるようなシステムと比べると、耐障害性に関するシステム投資が限定的とならざるを得ません。

2.システム部門の変革
企業競争力に貢献する新たなシステム部門への変革を目指し、クラウドに舵を切る企業が多く見られます。社内システムの運用を中心に行ってきたこれまでの業務を見直し、システム導入後の教育や改善、全社横断の業務改善プロジェクトへの取り組むためにアウトソースできるものは外へ出すという選択肢を取られています。


このようにクラウド型での検討企業が増える一方で、オンプレミス型と同等の選定プロセスを取られている企業が多く、不安を感じます。クラウド型であるが故の制約は少ないのですが、導入後に想定外と言わないためにもクラウド型ならではの前提条件に着眼した比較が必要となります。

まずはクラウド型ならではの前提条件と、そこに関連するメリット・デメリットを見てみましょう。

◎クラウド型ならではの前提条件

▼サービスアップデートは自動的に行われる
メリット:追加コストを払うことなく常に最新の機能が利用できる
デメリット:利用ユーザーへの教育コストが継続的にかかる可能性がある。古いPCやブラウザが動作環境から外れていく

▼障害時の対応はサービス提供ベンダーにお任せ
メリット:自社システム部のメンバーが計画外の急な対応を迫られることがなくなる
デメリット:人事異動時の誤操作によるデータ削除など、自社の作業ミスに起因する運用上の障害に対応しづらくなる

では、この2つの前提条件を踏まえてサービスを比較してみましょう。今回は、クラウド型グループウェア導入検討時に名前があげられることの多い3つのサービスを比較したいと思います。

Google Apps for Business
Microsoft Office 365
Garoon on cybozu.com

 

サービスのアップデート

■Google Apps for Business

アプリケーション単位で高頻度にリリースがあり、作り手主体のアップデート計画。
大幅な画面変更も発生するため企業利用時にはアップデート頻度が高すぎるため、社内ヘルプデスク対応にコストがかかる。
Google Apps for Businessのサービスアップデート案内ページはこちら


■Microsoft Office 365

アプリケーション単位で不定期アップデート。
アップデート情報はシステム管理者寄りの記載になるため、社内説明には別途資料作成が必要。
Microsoft Office 365のサービスアップデート案内ページはこちら


■Garoon on cybozu.com

半年に1回のアップデートが基本。
アップデートの2週間前には変更点をまとめたページを公開すると共に、ユーザー操作に大きく影響を与える新機能はOn/Offが可能な設計とし、ユーザー教育コストを下げる工夫をしているため、教育コストの追加は限定的。
Garoon on cybozu.comのサービスアップデート案内ページはこちら


サービスアップデートの考え方や、ユーザーに提供される情報は各社で異なります。システム部門の変革を目指してクラウド型を導入したはずが、導入後の社内ヘルプデスクに忙殺されては本末転倒です。

 

障害対応、データリストア手段

■Google Apps for Business

月間の稼働率99.9%未満となった場合、サービス クレジット(追加されるサービスの日数、または日数分相当の返金)請求が可能。ただしダウンタイムの対象は、ドメインでユーザーエラー率が 5% を上回る状態となる。また、日本市場向けにリリースされているサードパーティー製品を利用した場合はSLAが保証されなくなるので注意が必要。

データリストア手段はユーザー自身によるメールデータのアーカイブのみ可能。
システム全体でのデータリストアは不可。


■Microsoft Office 365

月間の稼働率99.9%未満となった場合、サービス クレジット(返金)請求が可能。
しかし、請求には、下記の情報をすべて整理しインシデント発生月の翌月末までにマイクロソフトへ提出する必要がある。
(i) インシデントの詳細な説明
(ii) ダウンタイムの期間に関する情報
(iii) 影響を受けたユーザー(該当する場合) の数および所在地
(iv) インシデント発生時に解決のために講じた措置の説明

データリストア手段はユーザー自身によるメールデータのアーカイブのみ可能。
システム全体でのデータリストアは不可。


■Garoon on cybozu.com

稼働率99.9%以上を目標に運用。大規模障害時には24時間単位での返金請求が可能。
プログラム安定稼働に向け「機械は壊れる、人はミスをする、ソフトウェアにはバグがある」という前提に立ち、ハードウェア設計、オペレーション自動化など様々な対策を講じている。また、人に起因するエラーを防ぐため、ヒューマンオペレーションは情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に基づき、複数の関係者間で承認された手順書を遵守。

なお、データ保管はメインとなる東日本データセンター内での冗長化に加え、14日分のバックアップデータを専用ストレージへ保管。さらに西日本データセンターへも1日1回バックアップデータが転送され、14日分が保管される。(契約データ量の30倍を常時保管。)バックアップデータを利用したデータリストアサービス(有償)を提供しているため、利用者の作業ミスによる過去データ参照や監査等にも対応可能。


どのサービスであっても安定稼働させるための対策が講じられていますが、万が一障害が発生した場合の対応には差があります。また、契約企業による誤操作・作業ミスのリカバリ手段も事前に確認が必要です。

まとめ〜クラウド型グループウェア導入で失敗しないために〜

このように、クラウド型の前提条件は同じであっても、提供されるサービスには大きな違いがあります。オンプレミス型での運用とは異なり、提供されるバージョンの固定やバックアップデータからのリストアを自由に行うことが難しいため、具体的に提供される情報やサービス内容は事前に確認の上でサービス選定することが必要となってきます。

クラウド型グループウェアは導入メリットが大きいので、そのメリットを最大限享受できるよう選定時に上記の点をしっかりと比較されることをお勧めします。

◎クラウド型グループウェアサービスを比較する際、必ず見たいポイント

▼サービスの自動アップデート
・サービスのアップデートの頻度が、企業規模において適切であるか
・アップデート内容のお知らせは利用ユーザーにとってわかりやすく書かれているか
▼障害対応、データリストア手段
・サービスの安定稼働に向けての取り組みが、明確に公開されているか
・誤操作、作業ミスによるデータのリストアは保証されているか、またシステム全体でのデータリストアが可能か

クラウドサービスをご検討の際は、ぜひサイボウズにお問い合わせください。

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※2022年7月4日 お問い合わせのリンクを修正しました

サイボウズ ガルーン ビジネスプロダクトマネージャー 伊佐