予実管理で解決!プロジェクト炎上を未然に防ぐ情シスの秘策
2024.07.31
皆さんの部署やプロジェクトでは、予実管理をしていますか?
予実管理とは、例えば企業における予実管理であれば、売上目標を予測しその目標値に対してどれだけの売上を実際に生み出せているか、部署やプロジェクト単位での予実管理であれば、予め予測した支出額に対して実際にどれだけ使っているかを管理することです。
予実は、事業が適切に進んでいるかを測る重要な指標です。万一予算と実績が乖離してしまっても、早い段階で気づくことで赤字を防ぐことができます。「黒字/赤字になりそうだ」のような漠然とした認識ではなく、何がどの程度乖離しているかを定量的に把握できます。また同時に、目標に対してよい成果であったときの要因分析にも役立つでしょう。
この記事では、プロジェクトにおける予実管理、すなわち「予め設定した予算(プロジェクトで使えるリソース)に対し、どのくらいの支出が発生しているか」の管理について、ノーコードツールをおすすめする理由とその方法をご紹介します。
よくある課題
プロジェクトが進むにつれ、以下のような課題が判明することはありませんか?
- システム導入プロジェクトで、構築を依頼していた外部ベンダーの費用が大幅に上回っていることに気づいたが、もう軌道修正できないフェーズだった
- チームごとに予実管理をしており、プロジェクトリーダーが手作業でマージしているため、予実データが正確でなく、またリアルタイムに把握できない
- 情シス内で走る複数のプロジェクトで各プロジェクトマネージャーが個別に予実管理をしていて全体最適ができておらず、人員不足により遅延が発生したプロジェクトがあった
これらの課題の解決には、プロジェクトにおける適切な予実管理が不可欠です。
プロジェクトにおける予実管理のベストプラクティスと重要性
プロジェクトにおける予実管理の目的は、承認された予算内でプロジェクトを完了させることです。
プロジェクト管理のベストプラクティスをまとめたPMBOKでは、予実管理に関わる活動は5つのプロセスのうち「計画」と「監視・コントロール」に属しています。
それぞれの活動におけるポイントを見てみましょう。
コストマネジメント計画、コスト見積もり、予算設定
コストマネジメント計画、コスト見積もり、予算設定は、PMBOKでは計画プロセスとして定義されます。これらの目的は、「可能な限り適切な予測を立てること」です。最初の段階ではプロジェクトの全体像が見えず、情報も不足しているため、当然予測の精度は低くなります。とはいえ場当たり的な予測だと、プロジェクトが赤字になる可能性があります。
コストマネジメント計画、コスト見積もり、予算作成は、自動化が難しい領域なので、専用の手法や過去のプロジェクトを参考に適切な予測を立てましょう。一般的に用いられる手法は以下のようなものがあります。
コストマネジメント計画
コスト見積もりの有効桁数(スコープや規模に応じた見積もりの精度)や、コストの測定単位(時間、日数など)、報告形式など、コストの計画やマネジメントの方法、コントロールの方針や手順を文書化します。プロジェクト開始時のドキュメント(プロジェクト憲章やプロジェクトマネジメント計画書)があれば、参考にするとよいでしょう。
コスト見積もり
プロジェクトに必要なコストの概算金額を見積もります。さまざまな手法が用意されていますが、もっとも簡単なのは「類推見積もり法」です。社内で過去に行った類似プロジェクトを参考に、コストを見積もりましょう。
- 類推見積もり法
- トップダウン見積もり法
- ボトムアップ見積もり法
- 三点見積もり法
- パラメトリック見積もり法
予算設定
コスト見積もりを元に、スケジュールを把握しながら時系列に予算配分を行います。 予算設定を行うことで「どのタイミングで」「どれだけのコストがかかるか」を明確にすることができます。
なお、プロジェクトの計画フェーズでは、たびたびこのように過去のプロジェクトの過程や結果を参考にする場面があります。ナレッジマネジメントの観点でも、予算をはじめとするプロジェクトの情報を記録しておくことは非常に重要です。
コストコントロール
コストコントロールの目的は、「課題を見える化し、最終収支が赤字にならないよう直ちに軌道修正できる状態にすること」です。 つまり、その時点での収支状況を把握できるようにすること+赤字になっている項目を把握できるようにすることです。
情シスで発生するプロジェクトでは、下表のような項目を管理するケースが多いでしょう。
これらの数字を適切にコントロールするには、データの正確性、適時性、視認性が非常に重要です。ただし、必要な項目は企業やプロジェクトごとに異なります。また、粒度を細かくしすぎてしまい、予実管理自体の負荷が大きくなってしまうと本末転倒です。自社に合った持続可能な方法で管理できるよう、設計の柔軟性も重要です。
上記は手作業では実現が難しいため、ツールを使うことをおすすめします。
ノーコードツールなら日々の入力の習慣化も使いやすさも実現できる
予実データの正確性、および適時性を保つには、「日々の実績入力を習慣化すること」が重要です。そのためには、ユーザーが実績を入力する際の負担が少ないツール、また同時に、プロジェクトリーダーなどコストをコントロールする人が扱いやすいツールを使うことがポイントです。
予実管理の専用ツールは、予実管理の機能が充実している反面、項目が複雑で使える人が限られる、項目やレポートフォーマットのカスタマイズに限界があり視認性・柔軟性に欠ける、といった課題もよく聞かれます。
「誰でも簡単に入力できるようにしたい」「最低限この項目だけ管理したい」「プロジェクト単位で予実管理を行い、最後に横断的に集計したい」など、細かいニーズに柔軟に対応するには、ノーコードツールがおすすめです。
kintoneがおすすめのポイント
kintoneはノーコードツールですが、予実管理における適切な監視・コントロールを実現できます。
「kintoneってどんな製品だろう?」と気になった方は、こちらのページをご覧ください。
はじめての方へ。キントーンとは
正確性
kintoneでは、データはレコード単位で保存されます。入力はフォーム化されているため、予実管理に必要な情報を過不足なく、かつ誰でも均一なフォーマットで記録できます。
またデータの入力フィールドには様々な制限をかけることができます。数値のみ、テキストのみのように入力可能なデータを制限したり、チェックボックスやラジオボタンで入力させることもできます。例えば番号を半角英数で入れるべきところ全角文字が混ざってしまう、カテゴリ名に表記揺れがあり集計が正しくできない、といった状況を防止できます。
Excelによる管理の場合、入力規則や項目を把握している人が限られ、予実管理が属人化しがちですが、kintoneではそういった状況を防ぎます。
適時性
kintoneではデータはブラウザから入力します。PCでもモバイルでもデータが入力でき、即時反映されるため、常に最新のデータを確認できます。予実の乖離があった場合にも、即座に気づくことができます。またレコード編集時の排他制御機能により、複数人による更新のバッティングを防ぎます。
視認性
kintoneの集計&グラフ化機能を使えば、リアルタイムでデータを集計・グラフ化でき、その時点での予算と実績値を一目で把握できます。また、数値フィールドはExcelのように計算式を埋め込めるため、実績値を入力するだけで予算との差分を自動表示できます。
一覧画面では、乖離している項目やイレギュラーなデータを見つけやすいといったメリットがあります。
また、kintoneのプロセス管理機能(ワークフロー機能)を使って、申請・承認のフローを入れることにより、予算と実績だけでなく、将来の支出見込みを把握できます。
メンバーが予算の使用計画を事前に申請し、その情報をkintoneが自動集計します。これにより、プロジェクトの予算使用予定をリアルタイムで確認でき、将来の支出見込みも把握できます。結果として、効果的な予算管理が可能になります。
なおサイボウズのプロモーションチームでは、実際にこの仕組みを使って予実管理を行っています。
柔軟性
kintoneはノーコードツールです。レコードのフィールドは、デフォルトで用意されているフィールドをドラッグ&ドロップで直観的に配置できるため、プログラミングの知識がない人でもアプリのメンテナンスを行うことができます。 プロジェクトが進むにつれ、必要な項目に変化があった場合や、予実管理アプリを改修したい場合も、誰でも簡単に対応することができ、アプリ運用の属人化を防ぎます。
▼kintone製品サイト
さわってみよう!kintoneアプリ作成画面
なお、kintoneは予実管理に限らずプロジェクト管理に適したツールです。プロジェクト管理に必要なプロセスと、それをkintoneで実現する方法は、以下の記事をご覧ください。
▼グループウェアNEWS
繰り返すプロジェクト管理失敗への処方箋:どこから手を付ければ改善できるのか?
kintoneで予実管理を行っている事例
実際にkintoneで予実管理を行っている事例をご紹介します。
ANAファシリティーズ様では、プロジェクトのコスト管理をkintoneで一元化し、コストの流れの見える化を実現しました。
▼kintone導入事例
ANAファシリティーズ様
ニッポンレンタカー東北様では、売上の予実管理をkintoneで行っています。売上の集計作業は、以前はExcelだったため特定曜日に手動で行っていましたが、kintoneへの移行後はリアルタイムでの把握が可能になりました。
▼kintone導入事例
ニッポンレンタカー東北様
予実管理は、プロジェクトの成功に不可欠です。適切な予実管理により、プロジェクトの健全性を常に把握でき、問題にもすぐに対処することが可能です。また、適切な予実管理を行い、その証跡を残しておくことは、将来他のプロジェクトの成功にも貢献できます。
ぜひkintoneを使って、適切な予実管理を目指しましょう!