Notesから移行する7つのメリット―その4:独自システムのため、他システムと容易に連携できないことを考える
2016.08.12
IBM Notes/Domino(以下、Notes)における7つの課題について紐解いていきながら、その解決策となる「サイボウズ ガルーン(以下、ガルーン)」のメリットを連載形式でお伝えする第四回目。今回は、様々な形で外部システムとの連携が求められる今の時代にあって、連携のしづらさが課題になりがちなNotesについて言及しながら、ガルーンにおける外部連携の容易性について見ていきます。
【Notesから移行する7つのメリット:バックナンバー】
その1:多様な利用シーン(外出先、自宅、モバイル、等)への対応を考える
その2:サーバーの老朽化、データ量増加に伴うレスポンス低下や障害発生を考える
その3:保守・サポート切れのため、問題発生時の対処ができないことを考える
その4:独自システムのため、他システムと容易に連携できないことを考える
その5:端末入替えに伴うNotesクライアント設定、個別端末環境に応じた問い合わせなど、対応負荷の増加を考える
その6:DBが多くなり、欲しい情報が取り出せないことを考える
その7:Notes技術者の退職でメンテナンスが困難になること、自社に合わせたカスタマイズで開発コストがかかることを考える
独自システムのNotes DBが外部との柔軟な連携を阻む
○外部とのサービス連携について
Notesでアプリケーションを作成する際には、Javaで作られたEclipseをベースに開発された統合開発環境であるIBM Domino Designerが一般的に利用されます。そのため、以前に比べてWebシステムとの親和性が高くなっており、HTMLやJavaScriptなどWeb標準の仕組みを活用して外部サービスとの連携も可能です。しかし、Notes DBを駆使して様々な業務アプリケーションを動かしている場合には、外部とのサービス連携は手間がかかるものです。外部のデータソースにNotesからアクセスする場合は、Notes DB内に一度データソースを取り込んでからのほうが連携するためのアプリ作成が容易なため、リアルタイムの処理には不向きな面も。リアルタイムな連携が必要な場合は外部にあるデータソースの知識を要し、技術的には高度な実装が求められます。コネクター製品の活用やSOAP、Javaなどを活用した場合でも、独特なNotes DBとシームレスな連携を図るためには難易度が高いケースが少なくありません。
○Notesを最新のバージョンにアップデートすることを考える
またWeb技術の活用は、当然ながら新しいバージョンのNotesであればこそですが、古いバージョンを利用し続けなければいけない環境では、外部サービスとの連携は困難を極めます。独自の環境で構築されているNotesでは、一般的なWeb標準のシステムが利用できないため、改めてNotes独自の環境でつなげていくことが必要です。Notesを最新のバージョンにアップデートしたいと考えても、従来Notes DBで作りこまれた環境が新たなバージョンではそのまま再現できないことも。結局古いNotes環境を利用せざるを得ない企業では、いつまでたっても外部にあるサービスとの接続がシンプルに行えないままとなります。
○中長期的な視点で考える
もちろん、Notesに慣れた技術者がいれば、最新のWebシステムとNotes独自のシステムの違いをしっかり把握しながら、外部サービスとの連携を行うこともできるでしょう。ただし、Notesそのものを理解する技術者が持つ知見を継承することを考えると、できる限り標準的なWebの知識だけで外部連携が実現できる仕組みが必要になってくることは間違いありません。様々なシステムがクラウド化している今、オンプレミス環境とクラウド環境のシームレスな連携も当然ながら求められます。企業独自のアプリケーションが実装可能な開発基盤をこれからも使っていくのか、時代の変化に対して柔軟な対応が可能なパッケージ製品に移行していくのか、十分に考える必要があります。
豊富なAPIと一般的なWeb標準技術で外部サービスとの柔軟な連携が可能なガルーン
HTMLやJavaScriptなど標準的なWebシステムで構成されているガルーンであれば、Webの一般的な知識があれば外部サービスとの連携が容易です。ガルーンが持っている設定の中で外部連携を行うことができ、もちろんSOAPなどを利用して外部との連携が実現できるだけでなく、スケジュールやメッセージ、掲示板など機能ごとに必要なAPIが豊富に用意されており、外部サービスとの連携も容易に行えます。APIドキュメント・サンプルプログラムなども提供されており、必要に応じて利用できます。
ガルーンAPIは、SOAP形式のインターフェースで作成されており、Web標準のAPIとして外部連携しやすく設計されています。ガルーン内の情報を外部のサービスに呼び出して表示したり、外部サービスの情報をガルーン内で利用したりするといったことが容易に行えます。例えば外部で利用しているメールサービスのアドレス帳情報をガルーンに取り込むことも、ガルーン内部の予定情報を外部のスケジューラーに連携させて表示、更新させることも簡単です。特にグループウェアは従業員が普段からアクセスする重要な情報共有インフラであり、外部と柔軟に連携できるような設計が求められるもの。標準的な技術を利用したAPIが備わっているかどうかは重要なポイントになってきます。
このように外部連携のためのAPIが備わっていることで、最初から外部連携の仕組みを開発するNotesに比べて、バージョンアップなどの対応時にもメリットが発揮されます。開発を伴う連携では、仕組みそのもののバージョンアップ時に動作検証が必要となり、その都度対応が求められます。標準的なAPIで外部連携を行うことができれば、バージョンアップ時にも影響を最小限にとどめることができます。
実際のガルーンAPIは、ガルーンが持つ各機能に対応して各種用意されています。具体的には、「アドレス帳」「ファイル管理」「メッセージ」「通知」「ワークフロー」「スペース」「スケジュール」「掲示板」「メール」「マルチレポート」「お気に入り」「システム管理」「連携API」の各機能に対して提供されています。
(ガルーンAPIの詳細はこちらで確認できます)
これらのAPIを利用すれば、ガルーンに備わっていない様々な仕組みとの連携が可能になり、より便利にガルーンを活用できるようになります。もちろん、外部のワークフローとの連携も容易となっており、例えば外部のワークフロシステム上で申請された情報をガルーン上のカレンダーに表示し、承認結果を反映させることが可能です。また、ガルーン上で承認した結果を外部のワークフローに返す連携もAPIを利用して行うことができます。なお、有償のオプション製品を利用すれば、SQLServerなどのRDBで構築された基幹システムのデータを参照してガルーンのワークフロー申請フォームに入力することも可能です。
まとめ
ビジネスにITの活用が欠かせない今、必要な機能を外部から呼び出して便利に利用できる環境作りが必要なのは間違いありません。外部サービスが利用しやすいクラウドへと移行しつつある今こそ、外部との柔軟な連携が可能なインフラに目を向けてみてはいかがでしょうか。
てんとまる社 酒井 洋和